どういうわけか女物の本に縁がある。前回は100万部を超えるベストセラーになった昭和女子大学学長の坂東眞理子さんが書いた『女の品格』(PHP新書)。そして今回は脚本家・橋田壽賀子さんの『夫婦の格式』(集英社新書)。本が発売されてまもなく、2人ともにインタビューした。

 中味はどちらも、「女よもっと利口になれ」というメッセージを強烈に発した本である。男の陰に隠れ主体性がないように見えて、実は利口な女が男をコントロールし、日本という国をしっかり守り発展させているのだという点で、実に似通っている。

闊歩するアラ女と男を立てる女の戦い

夫婦の格式』橋田壽賀子(集英社新書)700円(税別)

 そういえば、祇園の伝説的舞妓・芸妓と呼ばれる岩崎峰子さんに以前インタビューしたことも思い出した。彼女が『祇園の教訓』(幻冬舎)を出版した時だった。この時は本の中味よりも岩崎さんが連れてこられた娘さんの美貌と、心憎く躾された立ち居振る舞いに驚かされ、肝心なインタビューの内容の方を今では忘れてしまったが、やはり男の立て方、作り方がテーマだった。

 一方で、世の中はアラサーだアラフォーだと、結婚をしない自立した女の生き方を煽る。それに乗せられて、「自立した女に男は要らないのよ」とばかりに闊歩するアラ女たちの多いこと。

 この対照はいったい何なのだろう。

 恐らく世代間闘争なのだろう。お互い自分の生き方に自信を持っている者同士の。でも、一介のオヤジがこの点を深く考察したところで、きっと誰にも評価されない。専門誌か専門サイトに任せて、『夫婦の格式』に話題を移す。

 著者の橋田壽賀子さんは、言わずと知れた脚本家で、「渡る世間は鬼ばかり」などの名ドラマをいくつも世の中に送り出してきた。83歳という高齢を感じさせない肌のつやと明朗闊達な物言い。毎日800メートル以上は泳ぐという体調管理が秘訣なのかもしれない。

育児も平等、炊事洗濯も平等では男を堕落させる

JBpress 橋田さんの年代が男を立てると言われるのは分かりますが、今の若い女性には反発を招くだけではないのですか?

橋田 そこがダメなのよ。頭が悪いと言うの。男というのは立てれば立てるほど働くものでしょ。何しろ単純なんだから。そのことを分からずにいる女もまたバカだと思いますよ。

 女も社会に出て働いているのだから、育児も平等にしなきゃダメ、保育園に子供を連れて行くのは夫の役目などと、男に平等を強いる女は、実は自分も損をしてしまうのよ。

 男に対して、これをしなきゃダメ、あれをしなきゃダメと言えば言うほど、反発するもの。反発しなくても、嫌々やるようになる。そして文句ばかり言うでしょ。これでは夫婦がうまくいくはずがありません。

 男はおだてて使うもの。だってプライドで生きているんだから。これに対して女は実利で生きている。男のプライドを立ててあげれば、男って単純だから、女の思うように働くものなの。そうなれば女はしめたものでしょ。