米アップルが中国進出を本格化させると米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」は、同国第2位のキャリア、中国聯合(チャイナ・ユニコム)が通信サービスを提供しているが、アップルは現在、同国最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)と交渉中。同社のティム・クック最高執行責任者(COO)もこの6月に、北京にある中国移動の事務所を訪れており協議を進めている。
早ければ2011年中にも中国移動によるアイフォーンのサービスが始まると同紙は伝えている。
中国移動の加入者数は6億人
アップルはこれまで米国市場を中心にビジネスを展開してきたが、ここにきて中国の消費者市場が目覚ましく成長していることから同国への進出を加速させている。
ウォールストリート・ジャーナルは、同国にはその根拠となる驚異的な数字が数多くあると伝えている。
例えば、中国聯合の通信サービス加入者数は2億人だが、中国移動の加入者数は6億人になる。
またアップルの直営店は現在、中国本土にわずか4店舗あるのみだが、いずれも1日当たりの来店者数は4万人と米国店舗の4倍に上り、売り上げも世界のどの店舗より多い。
さらに香港、台湾も含むグレーターチャイナ(大中華圏)におけるこの半年間(2010年10月~2011年3月)のアップルの売上高はほぼ50億ドルだったが、アップルの同じ期間の全売上高は500億ドル。アップルは中国市場からまだ10分の1程度しか恩恵を受けていないことになる。
iPhoneの価格は世帯収入3カ月分と同じ
ただ、アップルには課題も残っている。まず、同社はこれまで富裕層にターゲットを絞った販売戦略を展開しており、今のところ、それに代わる新たな方策は打ち出していない。
同国におけるタブレット端末の「アイパッド(iPad)」は3688元(570米ドル)からとなっており、これは米国の販売価格499ドルよりも高い価格設定。またアイフォーンは通信サービス契約なしの価格が5999元となっている。これらと中国の平均世帯収入(半年間)の1万2076元を比べると、アップル製品は相当な高級品として売られていることが分かる。