台湾では、馬英九政権が対中関係の改善を急速に進めている。こうした中で、30代のホワイトカラーが主体となり、中国大陸に職を求める「西進(ゴーウエスト)」ブームが起こった。

 その背景には厳しい雇用環境があり、2009年5月の失業率は過去最悪の5.82%まで上昇した。北京語を武器に、成長著しい中国で一旗上げよう。こう考える台湾人サラリーマンが増えても、決して不思議ではない。

 台湾当局は2009年6月30日、これまで禁止していた中国から台湾への投資を解禁した。中国企業が台湾に本格進出すれば、今後は大陸から優秀な人材が大量流入する公算が大きく、台湾の雇用市場は一大転換期を迎えるだろう。

 ただでさえ失業リスクが高いのに、中国人とポスト争いを迫られる将来を見越し、台湾人サラリーマンは自衛策として「大陸行き」を志願しているのだ。

 

台湾の「大陸行き」志願者、2万人を突破

台湾、馬英九氏が新総統に就任

対中関係改善、推進する馬英九総統〔AFPBB News

 台湾の人材バンク最大手「104人力銀行」が登録者を対象に毎月行う調査によると、2008年3月の馬総統誕生以来、対中関係改善の期待が高まり、中国で就職を希望する台湾人が増えてきた。総統選直前の2008年1月調査では1日平均1万5000人台だったのが、2009年3月に2万人を突破、4月は直近で最高の2万3000人を記録している。

 同社の邱文仁・マーケティングディレクターによると、今回の西進ブームは2回目になる。ITバブルが崩壊した2000年前後に、1回目が発生していたという。

 当時の台湾は、マイナス成長とかつてない失業率上昇に見舞われ、1980年代以降の高度成長に急ブレーキが掛かった。一方の中国は、成長スピードが一段と加速し、外資系企業が大挙して進出。経済大国に向け、離陸を始めた時期だった。