筆者は、少なくとも3つのバブル崩壊が含まれている今回の金融危機(住宅バブルの崩壊、連鎖的に発生した信用バブルの崩壊、および政策対応の過程で発生した原油・穀物バブルの崩壊)について、1987年のグリーンスパンFRB議長登場とブラックマンデーへの対応に起因する、ほぼ20年にわたって続いてきた米国の過剰消費と金融マーケット拡大という、より次元の高い大きなバブルの崩壊(「20年バブル崩壊」)ではないかという認識のもと、10月23日に「『20年バブル崩壊』と重要ポイント」を作成した。大きな時代の節目が到来している。
同レポート作成後、筆者が指摘した6つの重要ポイントを裏付ける動きが、次々と出てきている。たとえば、(2)世界的な景気悪化(米国経済との「共倒れ」)に関連するところでは、ドイツのオトレンバ経済次官は23日、景気刺激策を講じても同国の景気後退入りは阻止できないと発言した(10月23日 ロイター)。
ユーロ圏内で最大の経済パワーが景気後退局面入りすれば、ユーロ圏全体の景気後退局面入りに直結する可能性が高い。ノボトニー・オーストリア中銀総裁は24日、最近の金融危機の結果、一部経済指標は欧州経済の長期リセッションの可能性を示唆している、と述べた(10月24日 ロイター)。また、ユーロ圏景気の先行指標であるベルギーの企業景況感指数は、23日に発表された10月分が▲14.8(前月比▲0.4 ポイント)で、悪化が続いている。
また、(5)世界的な利下げ継続と政策金利の低水準での収斂トレンドに関連するところでは、23日に2つの動きがあった。まず、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が、1%という大幅な利下げを実施。
政策金利であるオフィシャルキャッシュレートは6.5%になった。ピークの8.25%から7・9・10月の連続利下げで、累計1.75%引き下げられたことになる。ボラード総裁の声明文は、タイミングと幅は流動的であるとしつつも、追加利下げを示唆する内容になっていた。同じ23 日、欧州ではスウェーデンの中央銀行であるリクスバンクがレポレートを0.5%引き下げて3.75%とした。10月8日の0.5%協調利下げに続く動きである。
一方、(1)世界的な金融危機の長期化・拡大・深化については、アルゼンチン、ハンガリー、ウクライナ、ベラルーシ、パキスタンなど、世界各地で金融危機の火の手が上がっているわけだが、23日に出てきた報道の中で、筆者が最も印象的だったのは、ロンドンで開催されたヘッジファンドマネジャー会合における、ルービニ・ニューヨーク大学教授の発言内容である。