地球の反対側、南米アンデス山脈南端にあるプジェウエ火山が50年ぶりに大噴火、その火山灰が地球を一周し今また南米へと到達した。空の交通への影響は南米大陸内にとどまらず、ニュージーランドやオーストラリアにまで及んでいる。

50年ぶりに大噴火したプジェウエ火山

南米チリのプジェウエ火山、中程度の噴火続く

プジェウエ山から立ち上る噴煙の中でひらめく稲妻(2011年6月5日撮影)〔AFPBB News

 当選を決めたばかりのオジャンタ・ウマラ次期ペルー大統領の南米諸国訪問も、陸路で行うことを余儀なくされたという。

 風が東へと吹きつけるため、火山の位置するチリよりも、国境を越えた隣国アルゼンチンの方がずっと被害が大きく、高原地帯は火山灰にまみれている。

 その中心(サン・カルロス・デ・)バリローチェは、アルゼンチン最大のリゾート都市。気候のみならず19世紀に多く移住してきたスイス人たちが築いた町並もあり「南米のスイス」とも呼ばれる地だ。

 パタゴニア地方のほぼ北端に位置することから、氷河や動物ウォッチングで人気の国立公園へと向かう人ばかりか、スキーやトレッキング、キャンプなどを楽しもうとやって来る人々のゲートシティともなっている。

 原発事故後の計画停電や節電で、電気に依存している社会の現実をつくづく感じる昨今だが、このあたりの国立公園では立派なホテルに泊まっても、夜になると真っ暗となることも多い。

環境保全の観点から電気の供給を止めるアルゼンチン

荒涼としたパタゴニアを突き抜ける一本道

 昼でも電気の供給時刻が限定されていたりして、電気というものの有難さを実感することになる。

 アフリカやアジアの田舎では、明らかなる電力不足、インフラ不備から、真っ暗となることは別に珍しくもない。

 しかし、石油も天然ガスも自給、原発さえも持っているアルゼンチンでは、電力供給の問題というよりは、自然保護という観点、いらない所では使わないということなのだろう。

 アルゼンチンは南米で群を抜いて欧州系人口の多い国だ。しかし、バリローチェあたりでは先住民の姿もよく見かける。