米IBMや米マイクロソフト、米ヒューレット・パッカード(HP)といった、いわゆる成熟したハイテク企業は、優秀な若者を得ようとあの手この手で人材獲得作戦を展開していると米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
こうした企業は、新興企業と違って割安の株式も、重要なポストも若い従業員に用意できない。
そこで、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の米フェイスブックや、ミニブログの米ツイッターなどの若者に人気のある新興企業、米アップル、米グーグルといった、格好良いイメージのある大物企業に人材を取られまいと、新種の広報活動に精を出しているという。
IBM、学生獲得に「ワトソン」使う
例えばIBMは、先頃米国の人気クイズ番組「ジェパディ!」に出演し、人間との対決に挑んで優勝したというコンピューター「ワトソン(Watson)」をカーネギーメロン大学に持ち込んで、クイズ対戦のイベントを行った。
またHPは、大学の1~2年生を集めたピザパーティーを開き、テクノロジー関連の討論会も開いた。HPの人事担当マネジャーは、新興企業に奪い取られる前に学生を囲い込むのが狙いと話したという。
一方マイクロソフトでは、新興企業と同じような少数の開発チームで仕事ができることを学生に訴えるよう採用担当者を教育している。また卒業生の社員を大学に送って、有望な学生一人ひとりに声をかけ、個別に面談を行ったりもしている。
同社もテクノロジー関連の懇談会を開いており、音声や動作を認識する同社の「キネクト(Kinect)」技術のデモなども行っている。
映画の公開も新興企業人気に一役
ドットコムバブル後の新興企業は優秀な学生獲得に一層力を入れるようになっており、それに脅威を感じている老舗テクノロジー企業は、今こうした様々な方法を模索しており、双方で競争が激化しているという。
特に、フェイスブックなどの企業が台頭し始めると、学生向けの就職紹介サービスも新興企業に注目するようになった。
またフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)」が話題になったことも新興企業の人気に拍車をかけたという。