日本人の死因の第1位は、がん。最も身近で怖いこの病気に対して、世界中の医療関係者が挑戦を続けてきた。手術の技術は格段に進歩し、新しい抗がん剤の開発も続き、がん=死というイメージは昔に比べると格段に薄らいだ。
暗殺された米16代大統領エイブラハム・リンカーンは晩年、がんを患っていたという説がある。暗殺時に残された血液からその真偽が近く明らかになる〔AFPBB News〕
しかし、「がん難民」という言葉に象徴されるように、手術もできない、抗がん剤治療も効果を期待できない、いわゆる末期のがん患者に対しては、救いの手を差し出せない厳しい現実も確かにある。そこに、現在のがんの3大治療(手術、抗がん剤治療、放射線治療)の限界があると思われる。
そうした中、近年、3大治療とは別の新しい治療が注目を集めている。体内の免疫細胞を活性化し量を増やすことで、がんに対抗しようとする「免疫療法」だ。
今回、この免疫療法に取り組んでいる横浜クリニックの青木晃院長にインタビューした。複数の治療法を紹介したいので、3回に分けてお伝えする。まず第1回は、がん治療における免疫療法の位置づけがテーマ。細かいニュアンスをお伝えるため、今回はあえて一問一答形式とした。
免疫療法は、体に優しい治療法
問 青木先生が免疫療法に取り組むようになったきっかけを教えてください。
世界保健機構(WHO)は昨年、2010年までに、がんが死亡原因の第1位になると発表した(写真はWHOの本部)〔AFPBB News〕
青木 義理の父が72歳の時に肺がんを発症しました。既に手術はできない状態で、脳梗塞の既往歴もあり抗がん剤も使えない。保険診療の枠では既に治療法がなく「このままであれば余命は3カ月ほど」という状態でした。
当時、私が手伝っていたほかのクリニックの免疫療法を義父に薦めてやってみたところ、腫瘍は縮小し、3カ月どころから2年半も延命しました。
しかもQOL(Quality Of Life=生活の質)が非常に良く、温泉旅行にも出かけられ、孫の顔を見ることもできました。がん特有の壮絶な苦しみがなく、老衰的な死に方でした。
一方、それに遡ること2年、実の父が同じように肺がんに罹患しました。手術と抗がん剤治療を徹底してやったところ、通常のがん治療にありがちな、苦しみの大きい最期となりました。同じがんで同じような年齢で、こんなにも違う最期を見たので、この治療法に対する印象は大きかったわけです。
問 免疫療法によってQOLが良くなるという話は、よく聞きます。
青木 体への負担が大きい手術や抗がん剤治療に比べると、免疫療法は体に優しい治療なのです。患者さんの血液を採取して、免疫細胞を増やし活性化した後、点滴で体に戻すだけなので、非常に簡単で体への負担も少ない。
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