マイクロソフトのサティア・ナデラCEO写真提供:Penta Press/共同通信イメージズ
2025年に創立50周年を迎えたマイクロソフト。長く低迷した同社を転機へ導いたのは、2014年にCEOへ就任したサティア・ナデラ氏による大胆な改革だった。マイクロソフト復活の立役者となった同氏の思いと手腕を凝縮した『Hit Refresh(ヒット・リフレッシュ) 』(サティア・ナデラ/グレッグ・ショー/ジル・トレイシー・ニコルズ著/日経BP 日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再編集。世界の現場でナデラ氏が目撃したクラウドの力と社会変革の実例を紹介。
率いる方法を学ぶ
窓(ウィンドウズ)から雲(クラウド)を見る
『Hit Refresh(ヒット リフレッシュ)』(日経BP 日本経済新聞出版)
マイクロソフトのCEOに就任した後のある日、私は集中治療室を訪れ、医療機器から聞こえる小さな作動音やアラーム音に満ちたザインの部屋を見渡した。
その時ふと、これらの機器の多くがウィンドウズ上で稼働していること、それらがクラウドに接続される機会がますます増えていることに気づいた。
クラウドとは、巨大データストレージや高度なデータ処理能力を備えたネットワークのことで、私たちが現在当たり前のように使っているテクノロジーになくてはならないものだ。その経験を通じて私は、マイクロソフトでの私たちの仕事がビジネスを超えていることをはっきりと悟った。現にその仕事が、か弱い男の子の命を支えている。
そう考えると、わが社のクラウドやウィンドウズ10のアップグレードに関する今後の判断も、これまでにない重要性を帯びることになる。私はその時、この点を肝に銘じなければならないと思った。
息子の状況に対処するには、私が両親から学んだアイデアの探究心や共感能力を日々発揮する必要がある。私はこれを、家庭でも職場でも実践している。ラテンアメリカ、中東、あるいは米国のスラム街の人々に会う時には、相手の考えや気持ち、意見をいつも理解しようと努めている。共感能力の高い父親であること、相手の心の奥底にあるものを発見したいという気持ちを抱くこと、それがリーダーとしての資質を向上させてくれる。






