写真提供:ロイター/共同通信イメージズ
イーロン・マスク氏率いるXが、アプリ内における電子財布機能「X Money」のサービスを、2025年後半に米国内で開始すると見られている。旧ツイッター買収当初から同氏が明らかにしていたXの「スーパーアプリ化」構想は、SNSと金融をどのようにつなげるのか。
SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏が金融業界の未来を予測する『金融とメディア、ITが融合する日』(北尾吉孝著/SBクリエイティブ)から一部を抜粋・再編集。マスク氏が、スーパーアプリのさらに先に見据える「ソーシャル・トレーディング市場」は、どのような可能性を秘めているのか。
野心的なイーロン・マスク氏の『X Money』
『金融とメディア、ITが融合する日』(SBクリエイティブ)
現在、日本は金融とメディアの融合という領域でも立ち遅れています。やはり、米国が一歩も二歩も先を行っている状況です。
本章の後半で詳しく述べますが、米国では、デジタル金融の技術とAIの技術が、金融のトレンドとメディアのトレンドを融合させつつあります。
いくつか実例を挙げましょう。
まずは、イーロン・マスク氏が率いる『X』のケースです。
大手クレジットカードの『VISA(ビザ)』と提携して、Xのアプリ内で資金を直接送金できるサービスを始めようとしています。
サービス名は『X Money』です。
Xのアプリに電子財布の機能を持たせ、ユーザー同士でX Moneyのやりとりをする、というイメージです。その電子財布は『X Wallet(ウォレット)』と呼ばれます。
ビザカードには『ビザ ダイレクト』というサービスがあります。ビザが発行しているデビットカードの口座を利用して、直接、個人間で資金の送金ができるというサービスです。クレジットカードのネットワークを用いているので、デビットカードがあれば、海外への送金も可能になります。
このビザ ダイレクトをXのアプリに実装して、ユーザー同士(P2P)の送金や、デビットカードと紐づいている銀行口座との間で入出金ができるようにします。
こうした機能が、X Moneyの当初のサービスになると考えられます。






