写真提供:©Taidgh Barron/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 米大手金融機関のブラックストーンは、2021年からIP(知的財産)コンテンツを持つ企業やメディア企業の買収を本格化。JPモルガン・チェースも、近年メディア事業へ進出し、広告プラットフォームの構築を進める。金融大手の狙いは何なのか。

 SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏が金融業界の未来を予測する『金融とメディア、ITが融合する日』(北尾吉孝著/SBクリエイティブ)から一部を抜粋・再編集。米国で進む金融とメディアの融合の最前線について解説する。

IPコンテンツと制作会社を買収する ブラックストーン

金融とメディア、ITが融合する日』(SBクリエイティブ)

 Xのケースは、SNSというメディア企業から金融・フィンテック業界への進出という構図でした。

 一方、米国では、金融機関のメディア業界への進出も顕著になっています。しかも、ブラックストーン・グループやJPモルガン・チェースといった、名だたる大手金融機関が積極的に動いているのです。

 まず、運用資産が150兆円を超えている世界的な投資会社であるブラックストーン・グループの例を紹介しましょう。

 ブラックストーン・グループは、2021年から、メディア企業やIP(知的財産)コンテンツを持つ企業の買収を本格化しています。実際は、元ディズニー幹部らを迎えて、ブラックストーン・グループが出資して設立した『Candle Media(キャンドル メディア)』が買収の先頭に立っています。

 Candle Mediaは、設立後から、ブラックストーンの資金力を背景として果断なく買収案件を成立させてきました。おもな買収を次ページの図にまとめましたが、この中でも話題となったのが、『Moonbug Entertainment』と『ATTN:』です。

 英企業のMoonbug Entertainmentは、『CoComelon』や『Blippi』といった、世界中にファンを持つ子供向けアニメーションのIPを保有している会社です。