写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 世界的投資家ウォーレン・バフェット氏が株を保有していることでも知られる日本の「総合商社」。中でも5大商社と言われる、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅は創業100年を超える長寿企業だが、その特徴と強みとは何なのか。『商社ビジネス』(佐野智弘著/クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋・再編集し、日本独自の業界である総合商社のビジネスに迫る。

 積極的にSDGsの視点を取り入れている総合商社のトレーディング。経済性とサステナビリティの両立が生むメリットとは?

生産者支援

商社ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

「トレーディング」の基本は「安く仕入れて高く売る」ですが、近年はそれだけでは評価されません。総合商社のトレーディングは、時代の要請に応じて高度化・多様化しており、SDGsとの関係も深まっています。

 SDGs(Sustainable Development Goals)は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、2015年に国連で採択されました。17のゴールと169のターゲットから構成され、貧困、教育、環境、経済成長、ジェンダーなど幅広い課題を含みます。

 トレーディングとSDGsの関係でとくに重要なのが、「生産者支援」と「環境保全」です。持続可能な供給体制を整え、環境に配慮することで、「貧困をなくそう」「教育をみんなに」「クリーンなエネルギー」「働きがいと経済成長」「つくる責任・つかう責任」「気候変動対策」「陸の豊かさを守ろう」「パートナーシップで目標を達成しよう」などの目標達成に貢献しています。

 ここでは、丸紅グループの「サステナブルコーヒー」の取り組みを紹介します。

 丸紅は、取引先と協働しながら「持続可能で強靭なサプライチェーン構築」を目指しており、環境保全と社会の持続的発展に取り組んでいます。