写真提供:共同通信社/ロイター/共同通信イメージズ
世界的投資家ウォーレン・バフェット氏が株を保有していることでも知られる日本の「総合商社」。中でも5大商社と言われる、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅は創業100年を超える長寿企業だが、その特徴と強みとは何なのか。『商社ビジネス』(佐野智弘著/クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋・再編集し、日本独自の業界である総合商社のビジネスに迫る。
トレーディングから事業投資・経営、DX活用へと進化したビジネスモデル。幅広い事業領域や独自のバリューチェーン構築に基づく、変化に強い経営の仕組みとは?
ビジネスモデル
『商社ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
総合商社が数千億円から1兆円規模の利益を生み出せる背景には、「ビジネスモデル」の進化と拡大があります。長い年月をかけて、時代の変化に対応しながら、トレーディングの仲介から事業投資・事業経営、さらにはDXを活用した新たな収益モデルへと進化してきました。
現在、総合商社の収益は「トレーディング」と「事業投資・事業経営」の二本柱で構成されており、そこにDXを掛け合わせることで、既存業務の効率化や新規事業の創出を図っています。
商社のビジネスは、まずトレーディングを通じて取引先を深く理解することから始まります。その上で、投資に適した企業を見極め、出資を行い、経営人材を派遣して企業価値の向上を図ります。さらに、その過程で新たなトレーディング先が見つかり、次の投資へとつながっていくという循環が生まれます。もちろん、トレーディング実績のない企業に投資するケースもありますが、その際は慎重な判断が求められます。
このようなビジネスモデルの進化は、歴史の中で段階的に進んできました。戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、商社は輸出入や中間流通を担う「仲介役」として、生活必需品やエネルギー資源の輸入や、日本製品の輸出などを支えてきました。
しかし、時代の変化とともに仲介機能の価値が低下し、商社は川上・川下へのマイノリティ出資や、IT(情報技術)、FT(金融技術)、LT(物流技術)といった機能の強化に取り組みました。






