写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

「決算書」には経済ニュース以上の一次情報が詰まっており、業界の動向や企業のビジネスモデルを読みとく上で最適な情報源だ。では、その膨大なデータから知りたい情報を効率的に引き出すには、どうすれば良いのか。『7つのステップでビジネスモデルを可視化する決算分析の技術』(妄想する決算・著/フォレスト出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。決算書の“解像度”を上げ、企業の本質を知るためのヒントを探る。

 2024年、2025年と2期連続で過去最高益を記録した高島屋。インバウンド需要だけでは説明できない好調の背景を、決算書からひもといていく。

円安とインバウンドが企業の業績に与える影響を読み解く
──高島屋

 商業施設の運営を中心に行う高島屋ですが、利益の推移を見ていくと、2024年2月期、2025年2月期と2期連続で過去最高益を更新して好調です。

 では、どうして好調なのでしょうか。

 その要因の1つは「インバウンド」と「円安」です。

 2025年2月期の主力の国内百貨店事業の売上をもう少し詳しく見てみると、総売上高は2020年2月期比で+12.6%に対し、国内顧客売上高は+7.2%となっています。国内顧客売上高も堅調ですが、インバウンドによる押し上げ効果がより大きいことが分かります(次ページ・図10-3)。