写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
「決算書」には経済ニュース以上の一次情報が詰まっており、業界の動向や企業のビジネスモデルを読みとく上で最適な情報源だ。では、その膨大なデータから知りたい情報を効率的に引き出すには、どうすれば良いのか。『7つのステップでビジネスモデルを可視化する決算分析の技術』(妄想する決算・著/フォレスト出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。決算書の“解像度”を上げ、企業の本質を知るためのヒントを探る。
2022~2023年度に過去最高の業績を記録した小松製作所。需要がピークではない中でも好調を維持できた理由とは何か。
収益特性や市場で事業を分解する
──小松製作所
『7つのステップでビジネスモデルを可視化する決算分析の技術』(フォレスト出版)
■ 業績の推移の理由を考えて 疑問点をあぶり出す
小松製作所は決算説明会資料で、主要7建機や鉱山機械の需要の推移を開示しています。このように市場環境に関する情報を開示する企業は多いです、気になる企業の決算書を読み解くことで、同時にマクロな市場環境の情報が得られる好事例と言えるでしょう。
それでは市場環境を見ていきましょう。2019年度は米中の貿易摩擦、2020年度はコロナの影響で需要が減少していますが、2021年度には2018年度とほぼ同程度の水準まで改善しており、早期に需要が回復しています。
ところが、これはあくまでも需要が回復したという話であり、コロナ以前の2018年度と比較してみると2021年度は+2%と若干増加しているものの、2022年度は横ばい、2023年度は▲7%と減少しています。







