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 「決算書」には経済ニュース以上の一次情報が詰まっており、業界の動向や企業のビジネスモデルを読みとく上で最適な情報源だ。では、その膨大なデータから知りたい情報を効率的に引き出すには、どうすれば良いのか。『7つのステップでビジネスモデルを可視化する決算分析の技術』(妄想する決算・著/フォレスト出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。決算書の“解像度”を上げ、企業の本質を知るためのヒントを探る。

 構造改革で高収益体制を築いた日立製作所。DX投資が進む中、「IT×OT(運用技術)×プロダクト」を軸に社会イノベーション事業を拡大し、Lumada(ルマーダ)で知見を融合する。同社の次なる成長の行方は?

事業内容が複雑な企業を読み解く
──日立製作所

■ 知っている知識や知見を活用して今後について考える

 構造改革が進み、高収益事業が中心となった日立製作所は、今後も堅調な業績が期待できると言えます。

 デジタルシステム&サービス事業は、主力の国内市場で積極的なDX投資が続いているため、良好な市場環境が期待され、当然ながら成長が見込まれる事業です。しかしその一方で、市場の競争は激化しています。

 では、そのような中で日立製作所は需要を獲得し、成長を続けていけるのでしょうか? 他の企業に対して強みを持っていれば、需要を獲得して成長していくことが期待できます。そこで、日立製作所のITソリューション分野における強みについて見ていきましょう。

 日立製作所の強みは、まさに多くの製品やサービスを自社で作り続け、さらにその稼働オペレーションも担ってきた点にあります。例えば、工場の最適化についても、日立製作所は自社で積極的に取り組みを進めてきました。そのため、そこで培った仕組みやソリューションを他社にも外販するといったことも行っています。

 その他にも、社会インフラでも多様な製品を作ってオペレーションしており、エネルギー分野ではHVDC(高圧の直流送電方式)の導入実績が150GWで世界トップ、日立の鉄道サービスは年間延べ180億人が利用するなど、大きな強みを持っています。