写真提供:共同通信社

「決算書」には経済ニュース以上の一次情報が詰まっており、業界の動向や企業のビジネスモデルを読みとく上で最適な情報源だ。では、その膨大なデータから知りたい情報を効率的に引き出すには、どうすれば良いのか。『7つのステップでビジネスモデルを可視化する決算分析の技術』(妄想する決算・著/フォレスト出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。決算書の“解像度”を上げ、企業の本質を知るためのヒントを探る。

 テレビ広告市場は、コロナ前の1.8~1.9兆円規模から、2023年には1.7兆円台へと縮小傾向。そんな中、TBSはなぜ成長を続けているのか。その構造的な強さを読み解く。

財務面から見るテレビ局の特徴
――TBS

■ 業績の推移の理由を考えて 疑問点をあぶり出す

 2020~2021年3月期の業績は停滞していましたが、これはコロナ禍によるテレビ広告市場の停滞が影響しているのは容易に想像がつくでしょう。

 一方、近年の売上はコロナ以前を上回っていました。テレビ広告市場を見てみると、コロナ以前は1.8兆円~1.9兆円だったのが、2023年には1.7兆円台に落ち込むなど全体的に停滞しています。

 そうなると「なぜ、テレビ広告市場が停滞しても近年のTBSの売上は好調なのか?」という疑問が生まれます。

 そして、営業利益は横ばい傾向となりつつも、純利益が好調でしたから、「本業以外の何によって大きな利益を出しているのか?」という疑問も生まれます。