写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
リーダーが指示や鼓舞をしなくても、部下が自発的に動き、チームに活力と価値をもたらす――そんな仕組みは、どうしたら構築できるのか。『無言のリーダーシップ』(田尻望著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集。高付加価値を生み出すキーエンスで著者が学んだ、革新的なマネジメントの神髄に迫る。
かつて重宝された「熱血型リーダー像」は、今の若手には通用しない。高付加価値を生み出すリーダーに求められる「共感と共鳴」のマネジメントとは?
冷え切った組織を蘇生させる「共感」と「共鳴」
『無言のリーダーシップ』(SBクリエイティブ)
――「熱血応援」ではもう動かない
かつての体育会系の部活や高度経済成長期の企業文化では、熱血系のリーダーが重宝される風潮があった。ただ一人熱いカリスマリーダーがいるだけで、メンバー全員が「うぉー!」と奮い立つような組織がざらにあった。しかし、いまのビジネス環境では、部下の多くがそんな“根性論”に冷めた目を向ける。
だからといって、組織の冷め切った空気を放置してしまうと、成果を上げる活力もエンゲージメントもないチームになってしまうのが悩ましいところだ。私自身、部下に熱い言葉をかけたり、鼓舞したりすることが得意なほうではない。
幸い現代においては、「熱血応援」の価値は薄れてきている。「どうした暗い顔して。もっと気合い入れろ!」と発破をかけるような“根性論”で乗り切れるほど、あらゆるリソースに余裕がないのだ。メンバー自身が納得し、自発的に「走りたい!」と思える仕組みを整備しなければ組織がもたない。そこで有効なアプローチが「共感」と「共鳴」だ。
「共感」と「共鳴」は、似ている言葉だが意味が違う。部下との信頼関係構築のためには、両者の使い分けが重要である。






