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面接では「この人しかいない」と思っていたのに、実際に入社してみると想像と違っていた――そんな経験は、採用に関わる多くの人が持っているはずだ。選考における評価の質を上げ、入社後のパフォーマンスを予見するにはどうすれば良いか? “採用選考の改善”をテーマに書かれた『採用基準のつくり方』(鈴木洋平著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。
選考過程で応募者の論理性を面接で評価するには、「ケース面接」が最適だという。具体例を基に、実践時のポイントを見ていく。
面接における直接評価
『採用基準のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)
■ ケース面接の存在意義
面接で論理性を評価したいのであれば、論理性の発揮がより試されるような設定にします。その代表的な手法がケース面接です。
ケース面接とは、ある題材や設定をもとに、面接官から「こういう場合はどうしますか?」「では、このようになったらどうしますか?」というように、対話形式で質問していく面接手法です。応募者は自身の経験ではなく、考え方や判断を話すことになるので、その内容に論理性があるかどうかを評価できます。
ケース面接と似て非なるものに、面接官が突然、手元のボールペンを提示して「いまからこのボールペンを私に1万円で売ってみて」といった要望をする乱暴なものがあります。これではケースが設定されていないばかりか、選考という場における立場の非対称性を悪用した圧迫面接のようです。実際の仕事でこのような場面はほぼありません。ケース面接と混同しないようにしてください。
ケース面接は対話形式で進めていきますので、展開が完全に予想できるわけではありません。実施するためには面接官の技量も必要です。実施にハードルはありますが、論理性や論理性を伴ったコミュニケーション力を評価したいのであれば、適した手法です。
ケース面接の注意点としては、直接観察できない能力、たとえば、自ら動く力や最後までやり抜く力などは評価ができないことです。ケース面接の流れで応募者が「その場合は積極的にお客様のもとを訪問し、ニーズを探ります」と話したとしても、実際に応募者が「積極的にお客様のもとを訪問できるかどうか」はわかりません。
ケース面接はあくまで考えを聞くためのものです。考えていることと実際にできることの間には大きな壁があり、実際にできるかどうかは当該の行動そのものを行動観察手法で確認していく必要があります。






