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 面接では「この人しかいない」と思っていたのに、実際に入社してみると想像と違っていた――そんな経験は、採用に関わる多くの人が持っているはずだ。選考における評価の質を上げ、入社後のパフォーマンスを予見するにはどうすれば良いか? “採用選考の改善”をテーマに書かれた『採用基準のつくり方』(鈴木洋平著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。

 そもそもなぜ面接では、評価の誤認が起こりやすいのか。あるシミュレーションから、選考精度を向上させるためのヒントを探る。

選考で評価の誤認が起こると、どのような影響があるのか

採用基準のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)

 確かに、人が人を評価するにあたり、100%正しい結果をもたらすことはできません。また、能力は環境や文脈によって発揮できる範囲が変化し、成長するものでもあります。そのため、採用時点での評価結果が仮に正しかったとしても、期待通りに現場で活躍できるとは限りません。

 ただ、こうしたことを言い始めると、結局「現場が悪い」「採用が悪い」というイタチごっこになり、改善がなされません。ここではいったん、採用選考の評価に誤認があったとして、誤認による影響を考えてみます。

 まず、この場合の誤認とは何を指しているか、認識を揃えたいと思います。

 仮に応募者であるAさんに真の能力があるとします。真の能力は現代の科学では正確に測定しようがないため、何をもって真の能力とするかは置いておきましょう。採用選考では、Aさんの真の能力をできる限り正確に評価しようとします。誤認とは、Aさんの真の能力と評価結果に差分があることを意味し、差分は上振れの場合もあれば、下振れの場合もあります。

 100%正確な評価があり得ない以上、誤認は必ず発生しています。では、誤認があると採用にどのような影響があるでしょうか。筆者が実施したシミュレーションの結果を紹介します(次ページ図0-1)。