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 面接では「この人しかいない」と思っていたのに、実際に入社してみると想像と違っていた――そんな経験は、採用に関わる多くの人が持っているはずだ。選考における評価の質を上げ、入社後のパフォーマンスを予見するにはどうすれば良いか?“採用選考の改善”をテーマに書かれた『採用基準のつくり方』(鈴木洋平著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。

 面接技術を向上させるには、応募者のエピソードを理解するための3点モデル(背景、行動、結果の構造)と、深掘り質問を意識する必要があるという。具体的なトレーニング方法について考える。

評価基準と照らし合わせて評価する

採用基準のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)

■ 評価基準と照らし合わせて評価する

 企業の採用担当者から「協調性を評価するための質問はありますか?」など、何らかの評価要素を評価するための効果的な質問について聞かれることがあります。チームで働く際に必要となる対人系の能力については、エピソードの内容がチーム活動ではなく、個人活動である場合は確認できませんので、そういったケースではエピソードの転換が必要になります。

 ただ、基本的にはこれまで述べてきたように取材するようなイメージで深掘り質問をしていくことで、ほとんどの行動事実は収集できます。そのため、何らかの評価要素に特化した質問は必要ありません。

 エピソードで行動事実を収集しても評価要素に相当する行動が確認できなければ、その評価要素については評価不能です。面接における間接評価の限界なので仕方ありません。

 協調性を評価したければ、あえて「そのとき周囲の人とどのように協力し合ったのですか?」と聞くこともできます。ただ、こういった質問は応募者の回答の誘導になってしまうので注意が必要です。

 応募者のフェイクのひとつに「望ましい回答をする」というものがあります。質問の仕方によっては事実ではなく「望ましい回答をその場で考えて話す」ことが起こりやすくなります。これでは正しい評価ができません。

 評価要素を意識しておくことは大事ですが、誘導質問にならないように注意してください。あくまで行動事実を深掘り質問で取材していくというスタンスで面接を実施してください。