1976年6月、「異種格闘技戦」でプロボクシング世界ヘビー級王者ムハマド・アリ(右)と対戦するプロレスラーのアントニオ猪木
写真提供:ゲッティ/共同通信イメージズ

 面接では「この人しかいない」と思っていたのに、実際に入社してみると想像と違っていた――そんな経験は、採用に関わる多くの人が持っているはずだ。選考における評価の質を上げ、入社後のパフォーマンスを予見するにはどうすれば良いか? “採用選考の改善”をテーマに書かれた『採用基準のつくり方』(鈴木洋平著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。

 問題解決や意思決定を行うための思考の枠組み「カネヴィン・フレームワーク」を参考に、選考の難易度設定について考察する。

難易度とはどのような概念か

採用基準のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)

■ 視力検査と項目反応理論

 問題の特性(難易度)を考慮しながら受検者の能力を測定する統計的モデルを「項目反応理論(IRT:Item Response Theory)」と言います。100点満点中何点取れたかを測定するテスト手法より精度の高い評価を可能にします11

 コンピューターを用いたテスト(CBT:Computer Based Testing)が利用されるようになったことで、項目反応理論を用いたテストが実現できるようになりました。採用試験で利用されている各種適性検査にも項目反応理論が適用されているものもあります。

■ カネヴィン・フレームワーク

 能力測定において難易度を設定したほうがよいことがわかったところで、それでは行動特性の発揮における「場の難易度」はどのように捉えたらいいでしょうか。

 図2-9で示した評価基準の段階は、どのような文献を参考にしても概ね同様の段階が紹介されています。

11 このような従来型テストを古典的テスト理論(CTT:Classical Test Theory)と呼ぶ。