インドのZ世代に人気のD2Cブランド「Nykaa」写真提供:©Saurabh Sirohiya/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ
経済発展著しいアジア。しかし、 “アジア”とひとくくりのマーケットで捉えることはできない。なぜなら国や世代ごとに消費行動やニーズが大きく異なり、数値だけでは見えてこない背景・理由を読み解く必要があるからだ。本稿では『アジアン コンシューマー クロニクル』(北島尚著/マクロミル グローバル・リサーチ編/中央経済社)から内容の一部を抜粋・再編集。
自由化の影響を受けなかった世代とデジタルに親しんだ世代が共存するインド。「自分らしさ」を大切にするZ世代の消費スタイルとは?
■インド/モノへの消費から体験への消費へ
『アジアン コンシューマー クロニクル』(中央経済社)
インド自由化の影響を受けていないセグメント(世代1=NBと世代2=DNI)では口コミを重要視し、デジタルに親しんだ層(世代3=DIX、世代4=DIY、世代5=DN)はインフルエンサーや友人の影響を強く受ける傾向にあります。
① 基本的な生活必需品を重視する世代1(NB)
購入カテゴリーでは、健康とウェルネス、旅行、宗教的なニーズ、またFMCG(Fast-Moving Consumer Goods、日用品)製品などの基本的な必需品を優先し、地元の小売店を好む傾向が見られます。ほどほどの貯蓄があり、文化に根ざした生活をしているため、購入は主に日々のニーズベースで、祝祭シーズンにはあまりこだわりませんが、大きな買い物をする場合はフェスティバルが主な購買機会になることもあります。また、借金をすることや分割払いを避ける傾向があります。
比較的個人化が進んでおらず(意思決定が個人判断よりは共同体の枠組みを意識してなされる)、商品に対する認知度も低いため、口コミの重要性は高く、家族や交友関係など、周囲からのリコメンドが購入の意思決定において重要なウェイトを占めます。保守的で堅実なブランドに対するこだわりがあり、購買力が控えめで保守的な価値観をもっているため、価格と質に見合った価値への意識が高く、民間ブランドよりも政府公認のブランドや公営企業のブランドを好むことが多いです。
Eコマースの使用率は極めて低く、オンラインでの購入は子どもに頼ることが多いです。主な購買先は、地元にある家族経営の店を含む組織化されていない小規模小売店(キラナショップと呼ばれる)で、ときにはV-Martのような組織化された小売店(量販店)のときもあります。






