タイで人気のECサイト「Lazada」
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 経済発展著しいアジア。しかし、 “アジア”とひとくくりのマーケットで捉えることはできない。なぜなら国や世代ごとに消費行動やニーズが大きく異なり、数値だけでは見えてこない背景・理由を読み解く必要があるからだ。本稿では『アジアン コンシューマー クロニクル』(北島尚著/マクロミル グローバル・リサーチ編/中央経済社)から内容の一部を抜粋・再編集。

 EC(電子商取引)サイトを積極的に利用し、購買意欲が高まっているタイ。他の世代より自分を大切にするミレニアル世代の消費の特徴は?

■ タイ/セレブに憧れ、比較や検索して購入

 タイの購買行動には、現在大きな動きが2つあります。1つはEコマースとモバイルアプリに対する信頼感の向上、もう1つは、昔は主流で、今でもある程度は見られる社会的地位を誇示するための「地位表示的消費」です。

① 世代1は節度のある購入、消費には消極的

 コツコツとモノや私財を貯めて、それを守りながら安全に暮らしてきた世代であるため、余計なものを欲しがったり必要としたりするものではありません。宗教的特別祭事のときでさえ寺院に行き出費しますが、大した金額ではありません。

 全般的には節度のある消費行動をしますが、孫にお金を使う傾向が強いです。製品選択や購入の意思決定に際しては、質を重視し、価格に見合った価値を高く評価するという安全志向があり、確立された、実績のあるブランド(高級でなくても)を選びます。

 テクノロジーはこの世代にはあまり大きな影響を与えません。ネットショッピングのやり方は自分で覚えることはせず子どもや孫たちに依存しているのが現状で、Eコマースへの関心は薄いです。クレジットカードは所有していますが、消費者金融(ローンなど)はあまり利用しません。