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経済発展著しいアジア。しかし、“アジア”とひとくくりのマーケットで捉えることはできない。なぜなら国や世代ごとに消費行動やニーズが大きく異なり、数値だけでは見えてこない背景・理由を読み解く必要があるからだ。本稿では『アジアン コンシューマー クロニクル』(北島尚著/マクロミル グローバル・リサーチ編/中央経済社)から内容の一部を抜粋・再編集。
中国におけるZ世代ならではの購買行動をクローズアップ、その特徴を解説する。
中国:承認欲求、ブランドよりパッケージやデザイン
『アジアン コンシューマー クロニクル』(中央経済社)
本調査(「アジア価値観調査」)で分析対象とした中国の“95后”(ジェネレーションZ)は、1995年以降生まれで、現在20歳〜29歳です。人口は約7850万人。1979年〜2014年の1人っ子政策の影響により、人口ピラミッドの中では人口が少ない層です。
人口統計をベースに1995年から2012年生まれのZ世代を総合すると人口2億9千万人になりますが、Y世代の3億2千万人と比較すると、やはり全体の人口動態の中では少ない層です。
■ 中国のZ世代概略、価値観・ライフスタイル
① 経済成長による将来への自信
40年前、中国は世界で最も貧しい国の1つであり、1978年の国民1人当たりGDPは約306USドルでした。しかし、現在では世界第2位の経済大国であり、過去40年の年間成長率の平均値は8.5%、2024年の国民1人当たりGDPは約1万3千306USドル(2024年CEICDATA)です1。
経済改革と市場開放のプランを公表した1978年から、中国はかつてないほどの経済的・社会的発展を遂げています。世界経済に対する中国のシェアは1.5%(1978年:X世代の時期)から18%(2020年)にまで成長しました。そのため、急速な経済発展と大幅な消費拡大の期間に誕生した世代は、自国の将来に自信をもっています。また、生活習慣とパーソナリティの点で、前の時代の若者とは大きく異なります。
中国経済が成熟するにつれ、実質GDP成長率は14.2%(2007年)から5.2%(2023年)へと大幅に下降していますが、豊かさは3級2以下の都市にも広がり、中流階級層が増大しました。一方で、世帯間の所得差が拡大しているのが課題です。
1 IMF統計2024
2 比較的発達した経済規模の大きい県級の市政府所在地。






