北京の商業施設で買い物をする中国のZ世代の若者たち
写真提供:新華社/共同通信イメージズ

 経済発展著しいアジア。しかし、 “アジア”とひとくくりのマーケットで捉えることはできない。なぜなら国や世代ごとに消費行動やニーズが大きく異なり、数値だけでは見えてこない背景・理由を読み解く必要があるからだ。本稿では『アジアン コンシュー マークロニクル』(北島尚著/マクロミル グローバル・リサーチ編/中央経済社)から内容の一部を抜粋・再編集。

 日本にとって重要な貿易国である中国。生活者の価値観や消費行動における世代ごとの特徴とは?

購買行動

■ 中国/年配者は所有、若者は共有

 中国では年配者はモノを所有することを好み、若者は所有に固執せず、製品を通じて体験することを重視するため、モノを共有することに抵抗はありません。

① 自己抑制的な世代1、「体験」より「モノの所有」を重視する世代2

 中国の世代1は、前項のとおり、貧しい時代を過ごし自己抑制的な価値観であるため、自分のことに対しては非常に質素で、購買欲求も少ない傾向にあります。

 世代2は、食糧不足などで若い頃に苦労したため、「モノを所有することがとても大切」との認識があり、あらゆるものを数多く所有したいと考えています。持っているものを自慢したいとの願望があり、モノを所有することで満足感を味わうのです。そのため体験にはあまりお金を使いません。

② 世代3にとって重要になってきた体験型消費

 所有を好む1つ前の世代に対して、世代3以降にとっては、所有をすることの目的はモノを使うことか、もしくは使用を通じて「体験」をすることにあり、そのため体験に好んでお金を使うことに抵抗はありません。生活の質にはこだわりがあり、ブランド品も好み、オンラインショッピングに詳しく、よく利用しています。

 1つ前の世代と比べると、貯金は少なく、高齢になったときの心配はあまりしていません。右肩上がりの経済成長期に育ったこともあり、最も楽観的な世代ともいえるでしょう。