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モノづくりビジネスにおいて、世界的に主流になりつつある「オープンイノベーション」。ところが日本企業では依然、全てを自社で行う「自前主義」から脱却できずに商機を逃すケースが多く見られる。本連載では『学びあうオープンイノベーション 新しいビジネスを導く「テクノロジー・コラボ術」』(古庄宏臣・川崎真一著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集し、オープンイノベーションを円滑に進めるために心がけるべき他社との「コラボ術」について解説する。
今回は、オープンイノベーションで自社と提携相手がWin-Winになるために欠かせない「進化戦略」の捉え方について、3つの実例をもとに紐解いていく。
異なる戦略のコラボレーション
オープンイノベーションは対等な関係でスタートし、お互いが学びあい、ゴールは両者がともに勝者になることだと述べてきました。「両者が勝者」になるためには、最初の契約段階から Win-Winとなれるビジネススキームを設計できていなくてはなりません。
誰とでも Win-Winの関係を作れるわけではありません。Win-Winの関係になれる相手とは、どのような企業なのか。1つの答えは、進化戦略が異なる企業です。進化戦略の違う企業が同じゴールを目指す場合、ビジネスの棲み分けがしやすいからです。
次ページの図(2-9)に示すのは、経営学の有名なフレームワーク「アンゾフの成長マトリクス」です。アンゾフの成長マトリクスは「成長戦略」を可視化するものですが、ここではあえて「進化戦略」と表現します。
アンゾフの成長マトリクスは、横軸に製品軸、縦軸に市場軸を取ります。これを、「既存」か「新規」かで区分します。
既存市場で既存製品を押さえていく戦略を「市場浸透戦略」と言います。逆に、既存市場に新規製品を投入していく戦略を「新製品開発戦略」と言います。新規市場に対しては、既存製品で新規市場を開拓する戦略を「市場開拓戦略」と言い、新規製品で新規市場を開拓する戦略を「多角化戦略」と言います。
これは、会社がこれから目指す方向性と進化のあり方を示すマトリクスです。進化戦略が異なる企業同士の方がお互いに学びあい、Win-Win の関係を構築しやすいと言えます。







