『宮本武蔵』の著者・吉川英治氏は「我以外皆我師(われいがいみなわがし)」という言葉を残している。写真は山口県下関市船島(通称:巌流島)にある宮本武蔵と佐々木小次郎の銅像琢也 栂– stock.adobe.com
劉備玄徳にとっての諸葛孔明、織田信長や豊臣秀吉にとっての黒田官兵衛――歴史上の傑出したリーダーの傍らにはいつも「参謀」がいた。現代のビジネスでも、優れた経営者ほど、他人の力を借りる大切さを知っている。本稿では『The参謀』(松本隆宏著/游藝舎)から内容の一部を抜粋・再編集。経営者を支える参謀の必要性を、さまざまな視点から説いてゆく。
参謀を据えると決めた際、経営者が持つべき心構えとは何か。参謀の資質を最大限に発揮させるためのマインドセットについて解説する。
人の力を上手に借りる方法を学ぼう
『The参謀』(游藝舎)
ここまでは、参謀の重要性やその適性、また探し方についてご紹介してきました。
仮に良い参謀を置くことができても、自分に受け入れ態勢ができていなければ、良い結果は生まれません。
そこで本章では、参謀を置く際、どのような心構えを持つべきかというマインドセットをお伝えしたいと思います。
勘違いしてはいけないのが、参謀は自分の従業員ではないということ。
時々、「お金を払っているのだから、参謀といえども自分の部下だ」と勘違いして、参謀に対して高圧的な態度を取る人がいるのですが、それではせっかくの参謀の能力を狭めることにつながります。
参謀を置くべき理由は「自分にない視点から助言をしてもらい、目指す目的地へ行きやすくすること」。それなのに、相手の意見にいちいち反論したり意見したりするのは、せっかくの参謀の知見を不意にする行為です。
たとえ自分のほうが年長者であったとしても、「この人から学ぶ」と決めたのであれば、謙虚な姿勢を持ち続けることを忘れてはいけません。
参謀との付き合い方に限らず、他人の力の借り方を知っているだけで、人生は円滑に進みます。






