経営を“Oneチーム”にするためには、ハブとなる「参謀」が欠かせないphotostockatinat– stock.adobe.com
劉備玄徳にとっての諸葛孔明、織田信長や豊臣秀吉にとっての黒田官兵衛――歴史上の傑出したリーダーの傍らにはいつも「参謀」がいた。現代のビジネスでも、優れた経営者ほど、他人の力を借りる大切さを知っている。本稿では『The参謀』(松本隆宏著/游藝舎)から内容の一部を抜粋・再編集。経営者を支える参謀の必要性を、さまざまな視点から説いてゆく。
税理士、会計士、弁護士など、さまざまな専門家に囲まれた経営者が陥りがちなリスクとは? 経営者と専門家たちの間に入る参謀が果たすべき役割と共に考察する。
アップルやグーグルを支えた名コーチ、ビル・キャンベル
『The参謀』(游藝舎)
ビジネスのチーム性を大切にし、高い業績をあげた名コーチとして知られるのが、ビル・キャンベルです。
彼は、スティーブ・ジョブズのコーチとして、潰れかけたアップルを時価総額数千億ドルの会社に変貌させる手助けをしたほか、小さなスタートアップ企業であったグーグル(現在のアルファベット)も、同じく時価総額数千億ドルの会社に成長させるまで、コーチとして関わり続けたことで有名です。
ビル・キャンベルはもともとフットボールのコーチとして、そのキャリアをスタートしました。フットボールはアメリカの大人気スポーツですが、その醍醐味の一つはチームプレイです。彼自身が選手として、そしてコーチとしてフットボールと向き合うなか、「力を合わせなければ強いチームにはならない」ということを、身をもって実感していったようです。
そして、フットボールのコーチからビジネスの世界に飛び込み、実業家を経て、各企業のコーチとして活躍するようになってからも、彼が一貫して伝え続けたのが「チームプレイの大切さ」でした。
「どんな会社の成功を支えるのも、人がすべて」という信念のもと、優秀な人材ばかりが集まるアップルやグーグルにおいても、一人のスタープレイヤーのスタンドプレーではなく、チームに根付くコミュニティを大切にしていたと言われています。
いかに優秀な人材が率いているチームであっても、そこに監督をサポートするコーチ、すなわち参謀がいるのといないのとでは、結果は大きく変わっていくのです。






