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 劉備玄徳にとっての諸葛孔明、織田信長や豊臣秀吉にとっての黒田官兵衛――歴史上の傑出したリーダーの傍らにはいつも「参謀」がいた。現代のビジネスでも、優れた経営者ほど、他人の力を借りる大切さを知っている。本稿では『The参謀』(松本隆宏著/游藝舎)から内容の一部を抜粋・再編集。経営者を支える参謀の必要性を、さまざまな視点から説いてゆく。

 何でもできる器用な経営者ほど、「自分でやったほうが早い」という考えに陥りやすい。ビジネスという“チーム競技”で成果を上げるために重要な考え方とは?

ビジネスとは個人競技ではなくチーム競技である

The参謀』(游藝舎)

 ビジネスは個人競技ではなく、チーム競技である。この考えがあるかないかで、経営の成果が大きく変わってしまうものだと、私は断言します。

 ところが、この事実を受け入れている経営者は決して多くありません。

 大前提として、経営者には優秀な方が多い。今、本書を読んでいるみなさんも、他人より優れているから経営者という椅子に座っているのは間違いありません。

 しかし、そんな経営者ほど「自分にはできないことはない」という考えに陥りがちで、他人の力を借りるのが下手な人も多いのです。

 私の後輩にも人一倍努力家で、何でもできる器用なマルチタスカータイプの経営者がいます。彼は非常に優秀な人物にもかかわらず、ここ数年、業績がどうしても伸び悩んでいました。

「なぜこんなに能力のある人が、経営で成果を出せないのか?」

 そう疑問を抱いた私は、彼の働き方について、具体的にどのような実務を行っていて、どれだけ時間を割いているのかを質問してみました。