写真提供:Beata Zawrzel/NurPhoto/©Lev Radin/Pacific Press via ZUMA Wire/共同通信イメージズ
イノベーションは無から有を生み出すことではなく、既存の物事を新たに組み合わせることによって生まれる――そんな認識の下、組織や事業、技術の革新を目指す企業は少なくない。しかしその具体的な手法を見いだせず、過去の延長線上に留まっているケースが多いのが実情だ。本稿では、『創造する組織 多様性からイノベーションを起こす実践的方法』(永井翔吾著/BOW&PARTNERS発行)から内容を一部抜粋・再編集。イノベーション創出の鍵となる「パラドクス戦略」に着目し、企業事例を基に、対立する価値観・戦略を統合して創造的な革新を実現する方法を明らかにする。
かつては低価格路線だったユニクロと高級ブランドとして知られるゴディバジャパン。「マス」と「高単価」という一見相反する要素(パラドクス)をどう両立させたのか。競争戦略の永遠のテーマに挑んだ、両社の発想に迫る。
ユニクロとゴディバジャパンの切り替え戦略
『創造する組織』(BOW&PARTNERS)
ビジネス戦略上のパラドクスである「差別化戦略(ブランド・高単価)」と「マス戦略(低価格)」についても、時間差を使った切り替え戦略で乗り越えようとしている企業があります。次のページの図をご覧ください。
競争環境の厳しいビジネスでは、中途半端な価格や規模では生き残ることができません。したがって、基本的にはどのビジネス戦略も差別化戦略(ブランド・高単価)かマス戦略(低単価)を目指すことになります。
しかし、企業として目指したい戦略は当然、「高単価でマス」である右上の象限です。ゆえに、このパラドクスを乗りこなして、右上の象限に到達できるかどうかは、競争戦略の永遠のテーマとも言えます。
前述したP&Gは、この2つのパラドクスをバランス戦略で目指しました。ここでは、このパラドクスを切り替え戦略で目指していると思われる企業を2つ紹介します。






