写真提供:I-ne(アイエヌイー)
デジタル化が進化し続ける中、独自の価値によって顧客とつながり、収益を上げていくマーケティング戦略が、業種を問わず多くの企業に求められている。こうした動きに呼応し、戦略の土台としてマーケティングフレームワークを導入する企業も増えているが、自社の競争力として活用しきれないケースも少なくない。本稿では『マーケティングフレームワークの功罪 成果を生む戦略策定のための独自プロセス獲得法』(菅恭一著/日経BP)から内容の一部を抜粋・再編集。フレームワークを成果に結びつけるために必要な思考法や実践プロセスについて、成功企業の事例を元に考える。
2007年の創業以来、急成長を続けるI-ne(アイエヌイー)が生み出した、ブランド立ち上げのフレームワーク「IPTOS」とは?
創業者たちの“あうんの呼吸”を形式知化
株式会社I-ne 「IPTOS」
『マーケティングフレームワークの功罪』(日経BP)
株式会社I-ne(アイエヌイー。以下、I-ne)は2007年に創業し、ビューティテックの領域においてファブレスで商品開発を行い、成長を続けている企業です。同社は「BOTANIST(ボタニスト)」「YOLU(ヨル)」などのヘアケア商品を次々とヒットさせ、老舗メーカーを抑えてドラッグストアにおけるヘアケア商品のカテゴリーシェアNo.1を獲得するなど、業界に大きな旋風を巻き起こしています。
I-neには「Chain of Happiness」という強い経営理念があります。創業間もない頃、あるお客さまのレビューに「I-neの商品を使うことで気持ちが前向きになり、学校に通えるようになった」というコメントがあったそうです。このエピソードが原体験となり、同社は単なるプロダクトの提供にとどまらず、体験を通じて消費者の幸せの連鎖を生み出すことを経営理念に掲げています。
その思いの下、デジタル時代に適応した新しいブランドの立ち上げ方を確立し、2020年には東証マザーズ(現グロース市場)に上場。そして、今日までの急成長を支えているのが、同社が開発したブランドマネジメントシステム「IPTOS(イプトス)」です。






