
西友を買収したトライアル、ヨーク・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂、そして積極的にGMS(総合スーパー)やスーパーマーケット(SM)の新規出店を続けるイオンリテール。GMSが徐々に減っていく中で、この大手小売3社はどのような戦略を描いているのか。流通業界の専門誌、月刊『激流』の加藤大樹編集長に聞いた。
生き残りをかけた大手小売3社の経営戦略とは
――ディスカウント大手のトライアルが西友を買収しましたが、これをどう受け止めていますか。

1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。
加藤大樹氏(以下、敬称略) 私だけでなく、この業界の多くの関係者が、西友を買収するのはドン・キホーテを展開するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)だろうと予想していました。規模や資本力の面からも、そう考えるのが自然でした。
しかし、買収レースからイオンが早々に離脱し、最終的にPPIHとトライアルの一騎打ちとなった結果、トライアルが勝ち取ったというのは正直なところ驚きでした。
これはあくまで推測ですが、決め手となったのはやはり、買収額3800億円という数字でしょう。トライアルとしては、西友を手に入れなければ、今後の流通業界で上位に食い込むのは難しいと判断したのではないでしょうか。PPIHも西友を相当に欲しがっていたようで、買収できなかったことに対し、創業会長の安田隆夫氏が激怒したという話も耳にしています。