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セブン&アイ・ホールディングス(HD)が、コンビニ、専門店・スーパー、金融の3グループに分かれることになった。国内外のコンビニ事業はどんな成長戦略を描くのか。イトーヨーカ堂など29社が一つのグループにまとまるヨークHDは、いかに展望を切り開いていくのか。流通業界の専門誌、月刊『激流』の加藤大樹編集長に聞いた。
グローバルリテーラーを知るデイカス次期社長は適任
――セブン&アイ・ホールディングス(HD)が新しい体制に移行することになりましたが、現状をどう見ていますか。

1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。
加藤大樹氏(以下、敬称略) 大変大きな転換点を迎えていると思います。小売業のコングロマリット(複合企業)という形態から、コンビニなどが分かれていくということなので、前会長の鈴木敏文氏が退任して以来の転換点と言えるでしょう。
社長をスティーブン・ヘイズ・デイカス氏に譲る井阪隆一氏は、米国のコンビニチェーンのスピードウェイを買収し、海外コンビニ事業の成長に弾みをつけ、同社のグローバル企業化への道を開いたのですから、ここまで大きな貢献をしてきたと思います。
コンビニ事業とそれ以外の事業をはっきり分けるということは正直、想像すらしていませんでしたが、今は新しいモデルに転換していく過渡期と見ていいのではないでしょうか。
新社長に就任する予定のデイカス氏は、ウォルマート・ジャパンや西友でCEOを務め、ファーストリテイリングではシニア・バイス・プレジデントを経験してきました。そのため、グローバルリテーラー(小売世界企業)に関する知見を持っていると思います。
日本人の小売業のトップとは異なる経験を積んできていますから、コンビニ事業に専念し、これからグローバルな成長を目指していくセブン&アイのトップリーダーとしては、適任かもしれません。2022年からはセブン&アイHDの社外取締役として経営に関わっており、同社の事業をよく理解していると考えられます。