
優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域を司る人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や1on1 ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が、「経営人事」を深掘りしていく。
変化の激しい今の時代、過去の経験やノウハウでは対処できない場面が増えている。その中で、どのように学びを深めていけばいいのだろうか。
「人間は、見たいものしか見ない」
皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、イントロダクションの最後は経営人事の学びについてお話ししようと思います。社会人としての学びはどうあるべきかという話です。
まずは、以下の動画をご覧ください。エレベーターホールで白いTシャツを着た3人と黒いTシャツを着た3人がバスケットボールのバス回しをしています。この中の白いTシャツを着た3人が、何回パスを通したのかを数えることがお題です。
集中してよく見てください。正解は分かりましたでしょうか? 正解は「15回」です。皆さんはできましたか?
それでは、次の質問です。動画の途中で、右から左にゴリラが横切りましたが、ゴリラの存在に気が付きましたか。画面の真ん中で胸をウホウホするなど、ゴリラも結構アピールしていましたが、どうでしょうか? 数を数えるのに夢中で気が付かない人もいたかもしれません。
これは「Invisible Gorilla」というタイトルの動画です。メチャクチャ有名なので、「見たことがある」という人もいると思います。何か別のものに注意を振り向けている時、人間は周りで起きている他のことになかなか注意が向きません。そんな認知能力の限界について、端的に教えてくれる動画です。
僕は、この動画を紹介する時に、いつもこう説明します。「人間は、見たいものしか見ないのだ」と。