
写真提供:©Aurelien Morissard/IP3 via ZUMA Press/共同通信イメージズ
第4次ロボットブームの到来で、米中を中心に熾烈(しれつ)な開発競争が繰り広げられている。背景にあるのは「生成AIの進展」「人口減少」「人手不足」。日本にとってもロボットは社会や経済活動を維持するための生命線だ。本稿では『ロボットビジネス』(安藤健著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋・再編集。最先端のロボット技術と活用事例を紹介するとともに、今後の可能性を考察する。
産業用ロボットで一時代を築きながら、最先端ロボットの開発で米中に後れをとる日本。競争力を高めるには何が必要なのか? ソフトバンクの投資戦略、日本の製造業が世界に誇る現場力をヒントに考える。
米中の両方に投資するソフトバンク

まん丸な瞳で見つめてくるペッパーくん。どこかで一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
コロナ禍の2021年には、野球の福岡ソフトバンクホークスのホームゲームで、100体の「Pepper」が観客席で一糸乱れぬ応援をしていることが、最大のロボット応援団としてギネス世界記録にも認定され、話題になったりもしました。
実はこのソフトバンクは、アメリカと中国がロボティクス分野でのリーダーシップを巡って熾烈な戦いを繰り広げているなどグローバルに加熱する競争のなかで、独自のポジションを築いているのです。もっといえば、その中心にいるといっても過言ではありません。
投資会社としてのソフトバンクは、配膳ロボットのKEENON(中国)、Bear(アメリカ)に出資するほか、Pudu(中国)とも戦略的パートナーシップを結んでいます。また、物流系のロボットでは、自動倉庫を手掛けるAutoStore(ノルウェー)、Righthand(アメリカ)、Berkshire Grey(アメリカ)など世界中のロボット関係のトップ企業への投資をおこなっています。
その範囲は全領域に網羅的におこなっているとも言え、ロボットアームを手掛けるAgile(中国)、業務用掃除ロボットのGaussian(中国)、Brain(アメリカ)、配送ロボットのNuro(アメリカ)など挙げ始めるときりがないほどです。