写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 営業利益率51%、日本で圧倒的な存在感を誇るキーエンスは、過去5年間の平均売上高成長率も15%と時価総額上位の中でもトップクラス。なぜキーエンスはこれほど高い収益力と成長力をあわせ持つことができるのか?

『決算書ナゾトキトレーニング』(PHP研究所)、『決算分析の地図』(ソシム)などの著者で、財務コンサルティングを行う村上茂久氏が、キーエンスの圧倒的な収益力の秘密、競合FAメーカーであるオムロンとの違いを徹底分析。

キーエンスの営業利益率は、なぜダントツで高い?

 日本の時価総額ランキングで6位(2025年1月24日現在)に位置し、高い収益性で有名な企業、それがキーエンスです。キーエンスは、製造業や生産現場の効率化を支える高度な計測機器とソリューションを提供しているBtoBの企業です。

 日本の時価総額でのトップは時価総額45兆円のトヨタであり、2位の三菱UFJフィナンシャルグループとは倍近くの差があります。一方で2位以下については、時価総額は10兆円半ばから20兆円前後でひしめいていて、これら企業の順位の変動は激しい状況です(図表1)。

図表1

出所:日経新聞より筆者作成
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 そのような中、キーエンスの時価総額は16.7兆円です。この金額はユニクロを擁するファーストリテイリングや、通信のソフトバンクやLINEヤフーを傘下に持つソフトバンクグループをも上回っています。

 とりわけキーエンスの収益力は圧倒的です。図表2は日本企業における時価総額トップ10の営業利益率を高い順に並べたものです。