写真提供:©Ramon Costa/SOPA Images via ZUMA Press Wire/日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 かつて最先端の半導体技術を誇っていた日本。だが、今や半導体市場の勢力図は大きく塗り替えられ、日本企業は外国企業に大きく水をあけられている。AI(人工知能)の「頭脳」であり、経済安全保障の「重要物資」とされる半導体製造において、日本は再び輝きを取り戻すことができるのか? 本連載では『半導体ニッポン』(津田建二著/フォレスト出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。日本と世界の半導体産業の「今」を概観しながら、世界市場の今後を展望する。

 今回は、これからの半導体産業をリードするファブレス、ファウンドリのキープレーヤーについて解説する。

半導体企業(ファブレス、ファウンドリ、IDM)

半導体ニッポン』(フォレスト出版)

 半導体企業や半導体関連企業でこれから有望な企業はどこだろうか。それを探す手がかりとして、成長産業になっているかどうかという目で見てみたい。半導体そのものはもちろん成長産業であるが、さらに有望な技術を持っているか、あるいは成長分野に踏み込んでいるか、という観点から見てみる。

■ 今後の成長が見込めるファブレス企業群

 半導体企業には、設計から製造まで携わるIDM(垂直統合型の半導体メーカー)と、設計だけを受け持つファブレス半導体、製造だけを受け持つファウンドリという形態の中で、これまで大きく成長してきたのは一般にファブレスだった

 それもファブレスの成長期では、FPGAや通信モデム、CPUプロセッサなどいろいろな特長的な企業が多かった。FPGAではザイリンクスやアルテラ、通信モデムではクアルコム、CPUではAMD、サイリックスなどいろいろな分野にバラけていた。

 今とは事情が違うかもしれないが、あえて述べるのならAI、無線通信、自動車、ロボットなどが有望な成長産業であるし、有望分野であろう。そこでこれらを中心に見てみよう。

 AIで急成長したエヌビディアは、少なくとも今後10年は成長するだろう。もともと、ゲーム用のグラフィックスICに特化してきた企業だが、グラフィックスだけではなく数値計算専用に使うチップとしての用途も見つけた。