「想像(SOZO)と創造(SOZO)の行き交う街」をコンセプトに2004年に誕生した「ZOZOTOWN」(ゾゾタウン)。運営するのは、澤田宏太郎社長率いるZOZO(ゾゾ)だ。前澤友作氏が1998年にスタートトゥデイとして創業し、創業20周年を迎えた2018年10月に現在の社名に変更。その1年後の2019年9月に創業者の前澤友作氏が退任し、ソフトバンクグループ傘下のヤフー(現LINEヤフー)の連結子会社になった。それから5年。直近の年間商品取扱高は5700億円超、アクティブ会員数は1100万人に近づくなど、日本の成人の10人に1人が利用するサービスを持つまでに成長した。
今やECは日本でも生活インフラとして広く普及した。だが、その分、競争も激化している。そうした中でZOZOはいかなる成長戦略を描こうとしているのか。現在の課題や注目の取り組みとともにレポートする。
〈戦略〉強みのテクノロジーを生かし、変革を進める
EC黎明期には「ZOZOの1強」といわれ、先駆者かつ国内最大級のファッションECモールとして地位を確立してきたZOZOTOWN。しかし、その後、アパレル各社の自社EC強化や、楽天の「Rakuten Fashion」による攻勢、さらにはファストファッションブランドよりも安い「SHEIN(シーイン)」や「Temu(テム)」といった海外の超ファストファッション勢の急激な台頭、「メルカリ」をはじめとした個人間取引の普及なども大きく進展。ZOZOTOWNでは会員の囲い込みや新規会員の獲得コストが高止まりするようになっていった。
ZOZOは創業期から企業理念に「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を掲げ、変革に取り組んできた。創業者の前澤氏からバトンを受けた澤田社長が新体制をスタートし改めて自社の強みや将来像などを模索する中で、2020年に打ち出した経営戦略が「MORE FASHION × FASHION TECH」。そしてZOZOTOWN20周年の節目である2024年には、長らく確立してきた「服を買うならZOZO」という立ち位置から、「ファッションのことならZOZO」に取り扱い領域を広げ、客層を広げることを明確化。「『買う』より前の『上流』」という独自の表現を用いる施策に注力すると宣言している。