国内アパレル専門店でファーストリテイリング(2兆7665億円/2023年8月期)、しまむら(6350億円/2024年2月期)に次ぐ売上高第3位につけるアダストリア。創業70年の節目を迎えた2024年2月期に売上高2755億円、営業利益180億円と、ともに過去最高を達成し、株価も1年間で57%上昇するなどマーケットからも耳目を集めている。中期経営計画で掲げた最終年度2026年2月期の売上目標も、当初予定の2800億円を3100億円へと上方修正。目覚ましい勢いを見せる同社の成長戦略と最新の業績、注目施策と強化すべき課題を解説する。
〈戦略〉顧客層の拡大と提供価値の拡張を目指す4つの成長戦略
アダストリアという社名にはピンとこなくても、「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」「スタディオクリップ」などのブランドを手掛けるファッション企業といえば、「知っている」あるいは「買い物をしたことがある」という人はかなりいるだろう。
アパレル・繊維業界紙『繊研新聞』の「就職意識調査」(対象は全国ファッション専門学校生約1100人)では、「注目している企業」で2年連続1位となり(2位のファーストリテイリングと2020年からトップの座を競っている)、「就職したい企業」では2023年に1位、2024年も2位にランクインする(1位はマークスタイラー)など、名実ともに業界を代表する企業になっている。
そのアダストリアの戦略を理解するには、これまで同社が行ってきた4度の「チェンジ」の歴史を知る必要がある。