上層部の人間が退席したら、一人ずつ順に、取り組むべき問題を挙げてもらう。管理職一人一人に、自分が直面している問題や、重要だと思う問題をいくつか挙げてもらうのだ。必ず全員に発言してもらい、最後に、明確になった問題をリスト化する。その各項目――自分が挙げたものと他者が挙げたものの両方――について考えてもらい、次回の会議日程を組む。
次に――やはり上層部抜きで――集まったとき、その会合は管理職会議の体を成している。参加者たちが、前回集まったときに提起された問題のほとんどについて、考えられる解決法をメモ書きしてきていることが多い。
以前に勤務していた他企業や、よく知っている他領域での解決法をまねたり、応用したりすれば造作ないと気づくようになる。メンバーの経験が集まることによって、それまでは思いつかなかったアイデアが会議室内に湧き出すようになる。
ある事例では、前の職場で同じような状況を経験してきた人事部長が、営業部長の切実な問題を解決するのを目の当たりにした。彼女はそれまで、営業部長が抱える問題について考えたことはなかった。二人は、相手がもっている有益なアイデアを引き出すような形で交流をしたことがなかったのだ。
また別の事例では、メンバーが、ある部署では時代遅れのやり方が今も行なわれていることを聞いて驚く場面もあった。無意味なのに費用のかかる習慣が、これといった理由もなしに続けられていた。議題に上がるまで、検討したり調査したりする者は誰もいなかったのである。別の管理職がすぐさま、自部署での経験をもとに、段階的なアップデートの方法を説明した。
当然ながら、一筋縄ではいかない問題もあるし、提案された対策にかかる費用も、問題によってまったく違ってくる。数回の会合の後、どのように優先順位をつけるかを検討した上で、会議で承認された最終案を上層部にもっていく。するとたいてい、ゼネラルマネージャーは、アイデアのいくつかにたちまち惚れ込んで、何としてもすぐにそれを会社全体に適用したいと思うようになる。