■ 「正解探し」ではなく「正解創り」をするために

 繰り返しになるが、選択肢が無限にある時代だからこそ、正解探しよりも、正解創りをする力が求められる。

 正解探しをしている人は、より多くの選択肢と選択基準を並べて選ぶことが、幸せにつながると考えている。しかし、それは簡単ではない。自分に最適な会社を選ぶことなら、限定された選択肢しかなかった時代の方がむしろできたかもしれない。これだけ選択肢が増えた今、正解と言えるようなキャリアや会社を選ぶのは不可能である。正解探しをしていたら、ストレスを抱え、すり減って、不幸になるだけである。

 一方、正解創りをしている人は、選択の過程より自分の選択に覚悟を持ち決断することが、幸せにつながると考えている。20社並べてみても、30社並べてみても、どこに入るのが正解なのか現時点では分からない。そのため、決めて選んだ道を正解にしていこうという考え方だ。

 正解探しは「どこに答えがあるんだろう?」と、どんどん選択肢を広げていく。それゆえ、もっと良い選択肢がある(あったはず)という思いが迷いを生み、行動するエネルギーが阻害されてしまう。これに対し、正解創りは自分の判断軸で、思い切って選択肢を絞っていく。他の選択肢を断ち切っていく。それゆえ迷いが消え去り、行動するエネルギーが湧いてくる。他の迷いを断ち切り何かに集中して取り組むことで成果が上がり、結果として自分のスキルも高まり、もっと良い選択肢が増えていく。

 一生とは言わないが、人生の一定期間において、目の前の役割を受け入れて「決断することで、自分の選んだ道を正解に近づけていく」という経験も必要であろう。これが、選択肢の多いZ世代に求められるマインドセットの1つである。これからZ世代を受け入れるリーダー、マネジャーは、ぜひこのマインドセットを持たせることを意識してほしい。

<連載ラインアップ>
第1回 SNS世代が陥りやすいキャリアの「正解探し」の罠、脱却を支援する際のポイントとは?
■第2回 「正解探し」から「正解創り」へ、Z世代のキャリアづくりに役立つマインドセットとは?(本稿)
■第3回 早期離職がもたらす「6つの弊害」と若手社員の退職を防ぐ「We感覚」とは?(11月21日公開)
■第4回 新入社員の「突然の離職」を防ぐためのマネジメントのポイントとは?

(11月28日公開)
■第5回 アサヒ飲料が導入した「2年目リフレクション研修」、その狙いと内容とは?(12月5日公開)
■第6回 鹿島建設が入社3~5年目の社員に実施した「アイカンパニー研修」とは?(12月12日公開)

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