オリンパス 執行役 チーフヒューマンリソーシズオフィサー(最高人事総務責任者)の大月重人氏(撮影:千葉タイチ)

 医療分野に事業をシフトし、高収益企業への変貌を目指すオリンパス。同社は成長戦略の一つとして、人事改革にも着手している。代表的な取り組みが「人事制度のグローバル化」だ。率いるのは、日立製作所やGE、ヒューレットパッカードなど、数々の企業で人事トップを務めた、オリンパス 執行役 チーフヒューマンリソーシズオフィサー(最高人事総務責任者)の大月重人氏。人事改革の中身を同氏に聞いた。

これまで各地域で行ってきた人事施策を、全世界で統一する

――オリンパスが行っている「人事制度のグローバル化」とは、どのようなものでしょうか。

大月重人/オリンパス 執行役 CHRO(最高人事総務責任者)。

1984年、日立製作所に入社。以降、日本GE、HP、資生堂などで人事・総務に携わる。リーダーシップ開発やM&A人事の実践、人事基盤の構築やグローバル標準化の推進などを国内外で経験し、2019年11月オリンパス入社。2020年4月執行役員HR Head(2023 年現ポジション)。慶応大学経済学部卒。東京都出身。

大月重人氏(以下敬称略) 全世界にいる3万人の従業員の適所適材を実現するための取り組みです。具体的には、当社のタレントマネジメント、評価、報酬等の人事制度、及び人事システムをグローバルで統一しようとしています。

 オリンパスは各リージョン(地域)が十分に自律的に組織運営されており、これまでは、人材データベースの管理や人材の採用、育成、評価、配置といった人材マネジメントについては、リージョンごとに行っていました。

 しかし、当社の競争力を世界レベルで最大化するには、グローバル全体にどのような人材がいるかを可視化し、適所適材に配置することが重要です。あるポジションに最適な人物を、リージョンの中から探すのか、全世界から探すのかという違いです。そこで3年前から、グローバル統一のタレントマネジメントを構築し始め、2024年9月におおむね完成するところまで来ました。

――以前に比べて、グローバルで人材を流動的にさせる必要性が高まってきたという背景もあるのでしょうか。

大月 グローバルの人材異動については、これまでも十分に当社で行われてきたと捉えています。そういった課題感よりも、オリンパスが今後さらに成長するために必要な人事戦略だったと言えます。
 
 こうした理由から、グローバルで人事制度の共通化を進めています。ただし、私の過去の経験からも、共通化した方が良い部分と、各リージョンの特性を残した方が良い部分があると考えています。共通化し過ぎれば、各リージョンで働く従業員のモチベーションやアウトプットを下げてしまう可能性があるからです。そこで、共通化した方が良い部分を明確にし、グローバルで統一していきました。