経営統合が加速する2024年

――加藤編集長が今最も注目する小売業界の動向は何ですか。

加藤 ドラッグストアの再編です。イオンが、子会社のドラッグストア最大手であるウエルシアホールディングスとツルハホールディングスの経営統合に動いており、実現すれば売上高2兆円のドラッグストアチェーンが生まれることになります。

 もう一つ、両社の調剤事業の売上高を合計すると、調剤チェーン最大手のアインホールディングス並みになる点にも注目しています。この先、イオンが調剤専業のチェーンも傘下に収めていくことになると、少子高齢化が進む国内で、イオンの存在感は圧倒的になることから、一気に再編が進む可能性があります。

 他にもスギホールディングスが調剤薬局I&Hの買収を発表したり、サンドラッグがキリン堂ホールディングスを持分法適用会社にするなど、ドラッグストアでは昨年から今年にかけて大きな動きがあり、目が離せません。

――人口減少の影響が及ぶ中で、小売業界が取り組むべき課題は何ですか。

加藤 経済のパイが縮小する国内で小売業が生き残っていくためには、ローコスト経営を実現させるとともに、企業体力が必要です。それらを持ち合わせている小売業が生き残り、残存者利益を得ていく流れになるでしょう。業界再編は待ったなし、だと思います。

 総合スーパー、食品スーパー、コンビニエンスストアなどさまざまな業態がある小売業界ですが、特に注目されるのが、やはりドラッグストアです。

 最近のドラッグストアは生鮮食品や惣菜なども扱っていて、食品スーパーと見紛うような店舗もあります。また菓子や飲料、カップ麺などは安い。薬という利益率の高い商材を扱っているから食品スーパーより安い品揃えを実現できているのが強みでしょう。

 一方、食品スーパーは、価格の安さでドラッグストアにかなわないものの、生鮮食品や惣菜は、ドラッグストアよりも品質、品揃え共に大きく秀でています。そうした商材をどう売り伸ばしていくかがポイントになります。省力化を図って、生鮮食品や惣菜の仕入・加工・配送を一括して行うプロセスセンターを導入する食品スーパーも増えてきました。