化粧品ブランドの統合・整理を進めつつ、2024年2月には茶カテキン飲料「ヘルシア」の事業(ブランドと製造方法の知的財産権)をキリンビバレッジに売却するなど、事業ポートフォリオ変革に取り組む花王。同社は今、顧客体験価値(UX)を高めるDXと、新サービスや新ビジネスを生み出す共創により、新たな成長軌道を描こうとしている。
花王ウェイ(企業理念)で優れた創造のプロセス「よきモノづくり」を目指してきた花王。同社が今、目指しているのが、製造業から「UX創造企業」への変革だ。
「UX創造」とは、既存顧客とつながり深く理解することで最高の体験価値を提供することを意味する。そのためにDXに取り組み、双方向デジタルプラットフォーム「My Kao」を通して、顧客とこれまでにない体験価値を創出することを目指している(下の図、右上の青い丸)。
同時に、中期経営計画の戦略的アプローチに「両利きの経営」を進める方針を掲げる花王。同社は「Another Kao」(新事業の創生)をキーワードに、新市場で未来の成長エンジンとなる事業を生み出そうとしている。
そのために活用されるのが、花王の独自技術。「皮脂RNAモニタリング技術」「仮想人体生成モデル」という2つの技術を使い、他社と新たな顧客に向けた新サービスの共創に取り組む(下の図、右下の青い丸)。また、新ビジネスを創造するためのオープンな共創戦略も進めている(下の図、左の青い丸)。