目指したい姿、たどり着きたい場所
四大陸選手権を7位で終えた三原は、右足首の怪我が疲労骨折であることを明かした。
帰国してからの日々をこう語る。
「リフレッシュもしながら、足のコンディションがだいぶよくなってきているので、そこから完治と言えるところまでしっかり持っていけるように、来シーズンに痛みを持ち越さないためにリハビリとトレーニングと治療を始めました。歩くときの痛みがなくなってきたのですごくうれしいです」
甲南大学大学院に進んでまもなく2年。単位はすべて取り終えていた。
「スケートをしながら研究も進めてきて、もっと研究したいことがたくさんあるのであと2年、大学院に在籍させていただいて、もっと深い研究をしようかなって思っています。心理学や経営の知識を研究してきて、十数年間スケートをして感じてきたスポーツ心理の部分も含めていろいろ研究していけたらなって思います。スケートにも活かしたいです」
目指したい姿は明確に像を結んでいる。
「以前からトップアスリートになりたいって思ってきて、まだそこに届いていないという思いがすごくあります。どんなときも自分のマックスの実力や能力を出し切れる選手になりたいです。そしてそれプラス、怪我をしないこともスポーツ選手である自分自身にいちばん大切なものかなって思います。あと数年の現役競技活動、またその悔しさを味わうことがないように、これから先どんどん大変になっていくであろう身体をちゃんとケアしてあげて、強い身体づくりをしたいなと強く思っています」
たどり着きたい場所をたしかめるように、遠くに目を向けた。その先に海が見える。
「ここは私の地元で、ずっと海を見て育ってきました」
柔らかな、穏やかな笑顔の三原は、その表情のまま語った。
「やっぱり私はフィギュアスケートが大好きだし、小さい頃の、初めて滑ることができたときの映像とか見ると何よりも楽しそうに滑っているので、その楽しいという思いを忘れずに、小さい頃思い描いていた将来の姿になれるように、私を強くしてくれた存在であるスケートをしっかり楽しんでたくさんの方々に恩返しをしたいなと思います」
生まれ育った場所で再出発を誓う穏やかな笑顔の向こうに、今まで何度も見せてきた不屈の強い意志を備えたアスリートの姿が浮かび上がるようだった。