今年4月に開業した「東急歌舞伎町タワー」(撮影:内海裕之)

 コロナ禍を経て大きく変化した働き方やライフスタイル。それらを元の姿に戻すのではなく、「次」につなげるサービスとして、東急は5月17日より定額制回遊型宿泊サービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」の販売を開始した。同サービスは、いま話題の生成AI(人工知能)、「Chat(チャット)GPT」を活用したAIコンシェルジュ機能も提供するという。果たしてどんな仕組みなのか、開発者を直撃した。

全国泊まり放題のサブスク、シェアオフィス環境もサポート

 東急が正式事業化する「TsugiTsugi」は定額制で、全国のホテルに一定の日数、自由に宿泊できるというもの。2年間の実証期間を経て、個人向けプランと、企業ごとにフルカスタマイズで提供する法人向けプランの販売を開始した。会員数は現在すでに約2万人。今後3年間で5万人を目指すという。

 個人向けのサービスメニューは、日曜~木曜限定で月に5日まで泊まれる「えらべる5」(5万5800円、税込み)、日~木限定で14泊できる「えらべる14」(15万7800円)、曜日の制限なく30連泊できる「まいにち30」(29万9800円)などがある。さらに今回正式に事業化するにあたって、日~木限定で月2日まで宿泊可能な手軽なプラン「えらべる2」(2万3980円、初月は無料)を新設した。

 宿泊施設は海辺のリゾートホテルから駅直結の利便性の高いホテルまで、バラエティに富むホテル群が魅力だ。東急株式会社ホスピタリティ事業部の川元一峰氏によると、京都・東山に2022年7月にオープンした「THE HOTEL HIGASHIYAMA by Kyoto Tokyu Hotel」など、新しいホテルの人気が高いという。

「THE HOTEL HIGASHIYAMA by Kyoto Tokyu Hotel」の外観

 旅の足となる交通機関や、テレワーク環境をサポートするシェアオフィスサービスとの連携も強化した。ピーチ航空(Peach Aviation)の繰り返し使える1000円引きクーポンコードの適用を開始。これは無料会員まで適用される。また、全国650カ所以上のシェアオフィスが利用可能な日本経済新聞社のシェアオフィスサービス「OFFICE PASS(オフィスパス)」もオプションで利用できる。

東急株式会社ホスピタリティ事業部の川元一峰氏(撮影:内海裕之)

企業の福利厚生にも有効、旅する働き方で生産性アップ

“旅するように働く”というワークスタイルの普及に向けて、企業のニーズに合わせてフルカスタマイズする法人プランの販売も開始した。

 法人向けプランの開始前に、東急、ピーチ航空、日経の3社で、3カ月間の共同実証実験を実施した(2023年1月~3月)。そのアンケート結果では、従来の働き方と比べて「アイデア創発につながりやすい」「仕事に対するモチベーションを高める」「休日を多くとれる」という回答が目立った。また、実証実験への参加者のほぼ全員が、福利厚生として旅するような働き方を会社にサポートしてもらうことで、会社へのエンゲージメントが高まると答えたという。

 旅先で仕事をする場所としては、宿泊施設の客室に加え、シェアオフィスやコワーキングスペースの利用が多く、シェアオフィスサービス「OFFICE PASS」との組み合わせの有効性が示されている。

「静波リゾートホテル・スウィング&ビーチ」のワーケーションルーム