国立がん研究センター東病院の官舎の一部を解体して空いた土地に建てられた「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」

 『「世界の未来像」をつくる街。』として、街自体を社会課題解決のためのプラットフォームとし、公・民・学が連携し街づくりが進められている「柏の葉スマートシティ」(千葉県・柏市)。その中にある国立がん研究センター東病院の敷地内に2022年7月に開業したのが、三井不動産が開発し、三井不動産ホテルマネジメントが運営する「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」(以下、柏の葉パークサイド)。

 このホテルでは、通院患者や家族の利便性・快適性を実現するさまざまな配慮があり、2022年10月からは、テラス・ユー・ケアが開発した見守りセンサー「Tellus」を利用できるプランを展開。その狙いやメリットについて、三井不動産 柏の葉街づくり推進部の橘ひかり氏と、テラス・ユー・ケア(Tellus You Care) CEOのTania A. Coke氏に聞いた。

テラス・ユー・ケア CEOのTania A. Coke氏(左)と三井不動産 柏の葉街づくり推進部の橘ひかり氏(右)

スマートシティに生まれた、がん患者とその家族をケアするホテル

 柏の葉パークサイドは、国立がん研究センター東病院の公募に三井不動産が応じる形で始まった。年間30万人弱の来院がある同病院は、国内外から多くの患者・家族を迎えるため宿泊施設の需要があった。

 橘氏は「コンセプトは患者さんの安心・安全と利便性の向上を一番に考えたホテルです。駅(柏の葉キャンパス駅)の近くにもホテルがあるのですが、患者さんや家族の皆さんの利用が多くいつも満室状態でした。そこで、国立がん研究センター東病院の土地をお借りして、新しくホテルを建設しました」と背景を説明する。

 がん患者やその家族に快適な滞在を提供するため、病院と連携した24時間体制の支援サービスやオストメイト対応のトイレの設置や、各種備品などにもこだわった客室を用意。写真でその特徴を紹介していこう。

ソファやテーブルなどの備品は、サイズ、形状など、事前に患者や家族、病院関係者にヒアリングをして選定した
壁には旅をテーマにした絵画が飾られている
「ペットボトルのふたが開けにくい」という声から、ペットボトルオープナーを用意
バスルームにも呼び出しボタンを用意
「力が入らず、ドアを開けるのが大変」という声から、球体型のドアストッパーを採用
人工肛門の着脱などに便利なミラーも用意されている