メタのスーザン・リーCFO(最高財務責任者)は「我々はアプリ製品群やReality Labsなど会社全体に目を向けており、最大限の経営資源活用に向けて状況を調査している」とし、「これにより一部の部門でプロジェクトを縮小し、一部のチームから他のチームに人的資源を移すという厳しい決定をすることになる」と述べた。

 メタが先ごろ発表した22年10~12月期決算は、売上高が前年同期比4.5%減の321億6500万ドル(約4兆3200億円)、純利益が同55%減の46億5200万ドル(約6300億円)で、減収は3四半期連続だった。主力のネット広告事業の売上高は312億5400万ドル(約4兆2000億円)で、前年同期から4.2%減少した。

メタバース事業の赤字拡大

 同社が次の成長分野と位置付けるReality Labs部門の売上高は同17.1%減の7億2700万ドル(約977億円)にとどまり、営業損失は前年同期の33億400万ドル(約4400億円)から42億7900万ドル(約5800億円)に拡大した。

 ネット広告の不振で主力アプリ製品群の収益が低下する中、赤字続きのReality Labsが業績の重しとなっている。Reality Labsの年間営業損失も、前年の101億9300万ドル(約1兆3700億円)から137億1700万ドル(約1兆8400億円)に拡大した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、このときの説明会でマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、23年はメタにとって「効率化の年」であり、一部プロジェクトは閉鎖される可能性が高いと述べていた。

 世界のAR/VR端末市場ではメタが8割近くのシェアを持ち首位を維持しているが、市場規模は依然として小さく、次の成長分野と言えるものではないと指摘されている。米調査会社のIDCによると、22年におけるAR/VRヘッドセットの世界出荷台数は880万台で、前年から20.9%減少した。「参入メーカーの数が限定的であること、困難なマクロ経済環境、消費者への浸透度が低いことを考えると、この出荷台数減少は決して予想外なものではない」とIDCは指摘している。