主要サプライヤー、インド人員4倍に

 現在はアップルの主要サプライヤーであるホンハイが、インド南部チェンナイ近郊のスリペルブデュールに持つ工場でiPhone 14シリーズを製造している。ロイターによると、ホンハイはインドiPhone工場の従業員数を今後2年間で4倍にする計画だという。

 インドのバイシュナブ電子・情報技術相は、23年1月23日、アップルのインドからの輸出が22年12月に10億ドル(約1300億円)に達したとツイートした。

 ホンハイの中国・鄭州工場(河南省鄭州市)では22年10月下旬に新型コロナの感染者が確認され、工場と宿舎内に隔離されていた従業員らが集団で脱出する騒動が起きた。鴻海は人員補充のために新たな従業員を雇ったが、22年11月下旬にはこれらの新人工員が手当や衛生環境の不備などを巡り大規模な抗議行動を起こした。こうした中、アップルはサプライチェーン(供給網)の分散を図っている。

スマホ市場としてのインドに期待

 一方、アップルにとってインドは製造拠点としてだけでなく、スマホ市場としても開拓の余地がある国だ。オランダの調査会社ニューズーによると、インドはスマホ利用者数で中国に次ぐ世界2位の国である。香港のカウンターポイント・リサーチによればインドでのiPhoneのシェアは5%程度と、極めて小さい。だが、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は長年、インド市場の可能性に期待してきた。

 英フィナンシャル・タイムズは23年1月8日、アップルがインドで同社初の直営店をオープンするために人員を募集していると報じた。インド事業を拡大するとともに生産の多様化を目指し、中国への過剰依存から脱却する方法を模索しているという。