米アップルが生産の一部を中国国外に移す計画を加速させていると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが12月3日に報じた。
インドからのiPhone出荷を4割超に
アップルは、サプライヤー企業に対し、アジアの他の地域、特にインドとベトナムでアップル製品の組み立て業務開始に向けた事業計画をより積極的に進めるように求めたという。台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、鴻海(ホンハイ)精密工業をはじめとする台湾サプライヤー企業からの依存低減を狙っているという。
香港のカウンターポイント・リサーチによると、鴻海が中国河南省鄭州市に持つ工場では、新製品「iPhone 14」の普及モデル(14/14 Plus)の約80%以上を、上位モデル(14 Pro/14 Pro Max)の約85%を担っている。
アップル製品の市場動向やアップルのサプライチェーン(供給網)に詳しい中国TFインターナショナル証券のミンチー・クオ氏によれば、アップルの長期目標は、インドからのiPhone出荷比率を現在の1桁台から40~45%に拡大すること。あるサプライヤーは、今後ベトナムでワイヤレスヘッドホン「AirPods」や腕時計型端末「Apple Watch」、ノートパソコンなどのアップル製品の生産量が増えるとみている。
製造パートナーにNPI業務の加速を要請
サプライチェーンの関係者によると、アップルの計画の1つは、中国に拠点を置く企業も含め、より多くの製造業者を利用することだという。中国EMS大手の立訊精密工業(ラックスシェア)と中国・電子機器大手の聞泰科技(ウィングテック)がアップルとのビジネスを拡大しようとしている。
ラックスシェアの幹部らは2022年に行った投資家との電話会議で、「消費者向け電子機器の顧客が、新型コロナウイルス対策や電力不足などによって引き起こされた中国のサプライチェーンの混乱を懸念している」と語った。 企業名は明かさなかったが、これらの顧客はラックスシェアに中国国外でより多くの仕事をする手助けをしてもらいたいと考えているという。